2016年5月5日木曜日

小説「長恨夢」と小説「金色夜叉」 翻案小説 パクリのパクリ?

小説「長恨夢」と小説「金色夜叉」 翻案小説 パクリのパクリ?

明治の文豪、尾崎紅葉が貫一・お宮の愛憎を描いた小説「金色夜叉」(1897から読売新聞連載)が、当時イギリス、アメリカで人気のあった女性向け通俗小説シリーズの1冊「Weaker Than a Woman(女より弱き者)」を種本にして書かれたことが分かった。

イギリスのFamily Herald紙に、1878年8月17日から同年11月23日まで連載されたものである。

朝鮮の小説「長恨夢」は趙重植が1913年に「毎日申報」に連載したものである。「長恨夢」は趙重植が「金色夜叉」を翻案したもので、原作をしのぐ深い愛の世界を描いたものとして高い評価を得、以後、芝居や映画となり大衆ドラマとなったらしい。

「長恨夢」の舞台は平壌であり、「熱海の海岸」は「大同江河畔」に置き換えられているが、あらすじはほとんど「金色夜叉」と同じである。











原本の「Weaker Than a Woman(女より弱き者)」、「金色夜叉」、「長恨夢」ともに女主人公がダイアモンドに魅了されてしまう物語である。

日本において外国小説の翻案小説が作られたが、日本の小説の翻案小説も朝鮮にたくさんあったようだ。

尾崎紅葉の『金色夜叉』を翻案した「長恨夢」(1913)、菊池幽芳の「己が罪」(1899)を翻案した「双玉涙」(1910年代)等。

翻案小説:他の作者の小説(内容、事柄)の大筋をまねて細かい点を変えて作り直した小説。