2013年7月15日月曜日

お富さん(春日八郎) 昭和29年


「お富さん」は春日八郎の歌で昭和29年(1954年)に大ヒットした。
歌舞伎から題材をとった歌で、歌舞伎の文句など全く知らなかったが小学生でもみんな歌っていたほど人気があった。
当時は「イキナクロベエ、ミコシノマーチ」を「黒べえさんがおみこしを担いでマーチ(行進)する」と子供たちは理解していた。
「粋な黒塀」や「見越の松」はずいぶん後になって意味を知った。「見越の松」は門の塀のところに横から突き出している松だったとは、細い松だったけど自分の家の門の横に「植わっていたとは、お釈迦さまでも、知らぬ仏の ゆめじさん」であった。

この歌は「昭和ロマンを楽しむ会」としては必ず歌う定番ソングであるし、また皆さん手拍子で歌ってくれる。

話の内容は、与三郎がよその男の女(お富)に手を出してメッタ切りにされて、その刀傷をみせてゆすりたかりをやっていくというものだ。子供が歌っていてもだれも大人は説明してくれなかったが、なるほどその内容はとうてい子供に教えることができない歌だったのだ。

与三郎がメッタ切りにされたのが千葉県の木更津である。
千葉県は博徒が多いのか、「天保水滸伝」では笹川繁蔵と飯岡助五郎が登場する。漁港や利根川の水運などで博徒が集まるほど栄えていたのだろうか。

バイオリン演歌・書生節演奏:
「昭和ロマンを楽しむ会」(帝大生ゆめじ&青空ぴーまん)  

  粋な黒塀 見越しの松に
  仇な姿の 洗い髪
  死んだはずだよ お富さん
  生きていたとは お釈迦さまでも
  知らぬ仏の お富さん
  エーサオー 玄治店(げんやだな)

  過ぎた昔を 恨むじゃないが
  風もしみるよ 傷の跡
  久しぶりだな お富さん
  今じゃ呼び名も 切られの与三(よさ)よ
  これで一分じゃ お富さん
  エーサオー すまされめえ

同じ歌舞伎を題材にしたものでは翌年(昭和30年)「弁天小僧」という歌も少しはやったそうだ。
「ぼたんのようなお嬢さん、シッポ出すぜと浜松屋」

歌舞伎「与話情浮名横櫛」(よわなさけ うきなの よこぐし) 通称「切られ与三」、「お富与三郎」
源氏店妾宅の場
(与三郎):もし、御新造さんえ、おかみさんえ、----お富さんえ、いやさ、お富、久しぶりだなあ~
(お富) :そういうお前は
(与三郎):与三郎だ
(お富) :えっ
(与三郎):おぬしゃあ、おれを見忘れたか  
(お富) :えええ

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